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回復者の体験談 ~Vol.9 桂けい子さん

なんで摂食障害になったんだろう?

 今まで、なんで私は摂食障害になったんだろうと考えた時、「過去のことを処理し、気持ちを楽にするために摂食障害になったんだ」という風に思ってたんだけど、最近になって、私が摂食障害になったのにはもっと深い意味があって、摂食障害は「あなたはこの世で、要らない存在じゃないんだよ」ってことを教えてくれたんじゃないかなって思うようになりました。

 最近、摂食障害のお子さんをもつ親御さんとお話する機会が何度かありました。その中で、親御さんもそのお父さん・お母さんとの関係で悩んでおられたり、悲しい出来事があったりする方がおられることを知りました。もちろん、そうでない親御さんもいますが、私の母も例外ではなくて、私の母が、母の両親・親戚との関係で悩んで育っていたり、今も悩んでしんどい思いをしているように見えるのです。現に数ヶ月前まで実家に帰っていた母が、追い出されるようにしてこちらに帰ってきました。そして、そんな母と私の関係も良い関係でなくて、ちょっとよじれています。

 そこで思うんですが、このちょっとよじれた親子関係は私と私の親から始まったわけではなくて、実は私の親と祖父母の関係から続いていたのでは、と思うようになりました。また可能性としてですが、実は祖父母の親のまたその親の親から…というように、よじれた親子関係はずーっと代々続いていて、最終的に私と私の親との関係にも影響していたのかもしれないなと、思うようにもなりました。

 そこで、「祖父母と親の関係、親と私の関係をそのまま子孫に連鎖させてはいけないですよ」とか、「代々続くよじれた親子関係ではダメですよ、このままではアナタもアナタの子も、親子関係で一生しんどい思いをしますよ」と、ご先祖様か神様か仏様か知りませんが、私を摂食障害にさせることによって教えてくれたのかもしれないと、思い始めています。

 おかげで私は摂食障害を治す過程で、自分自身の感情の整理整頓をすると同時に、親子関係によって傷ついた心や満たされなかった心の隙間をも埋めることが出来ました。だからインナーチャイルド、そしてインナーマザーに自然とお別れすることが出来ました。

 そればかりでなく、自分の親と私との関係を見返すことで、我が子たちに対する接し方も考えながら子育てをすることが出来ています。歴史を繰り返したくないという思いで子育てしているので、親からされて嬉しかった事や嫌だった事を思い出しながら、その教訓を活かして子供達と接しています。それが結果的に、代々続いていた「よじれた親子関係」を私のこの代で断ち切るきっかけを作っているように思うんですね。私が摂食障害にならなかったら、母と全く同じ子育てをしていたと思うし、また歴史は繰り返されていたと思うんです。だから、神様が「この悪い連鎖を止めてくださいね」と私に託しはったんだと思っています。最近、年齢40代以降の方を中心にインナーチャイルドやインナーマザーに苦しめられている方もいるみたいですが、私はもう卒業できているからその心配はないし、我が子との関係でも代々続いたように大きく悩んだりすることもないんじゃないかと思います。ほんと、ありがたいなと思います。

摂食障害で悩んでいる方たちへのメッセージ

 私が摂食障害の真っ最中だった頃は、摂食障害の本も少なくて、ネットもそんなに発展してなかったし、自助グループや仲間を見つける方法もなく、孤独ですごく辛かったです。でも、今は本屋さんで摂食障害の本も並んでいるし、ネットで検索したら、いろんな情報が出てきますよね。だから、みんなと繋がることができるし、ひとりじゃない。仲間もたくさんいる。だから、とにかく自分と合う人と繋がってほしいなって思います。そして、貴女にぴったり合う生き方とか回復のヒントがどこかに隠されてると思うから、いろんな人と出逢って、それを集めてほしいなあって思います。今は症状で覆いかぶさって見えないかもしれないけど、摂食障害で覆いかぶさってしまった症状を取り除けば、貴女の素敵な原石が顔を出すと思うので、それを磨いてキラキラと輝かせてほしいなと思います。

(取材・文 岡井ルマ)

プロフィール/発症からいままで

桂けい子さん

高校クラブ引退後から拒食。3年後の就職後から過食嘔吐へ。10年かけて自力で回復。 子育て・仕事・趣味で人生を謳歌している。現在、あかりプロジェクトのリカバリーフレンドとして活動しながら、あゆみの会(摂食障害家族会)の本人用回報の執筆をしている。